photo Daichi Ano
photo Toshiyuki Yano
つづくいえ
駅近の狭小地に建つ木造3階建てのシンプルな箱です。
ドアがなくとも成立するほどまでプラン構成を練り上げたり、造り込みを必要最小限とすることでノイズの少ないミニマルな空間を実現したり、漆喰壁やウッドブラインドなどピンポイントで上質感や高級感を与えたり、デザインの良い廉価な既製品を厳選して採用したりと、トータルコストを抑えながらもチープ感を出さない工夫を随所に散りばめています。
技術的にも、将来的な住まい方の変化にも柔軟に対応できるよう室内には一切の構造柱も構造壁も設けずに済むよう設計してあり、そのワンルーム空間を極薄の壁で緩く間仕切ることで奥行きと繋がりを作っています。
また、厳しい斜線制限に対応するためにいびつな形で無理矢理に高さを確保するのではなく、上階にいくほど天井高を思い切って低くし、そのことで逆にプライベート感や落ち着きが増すというプラス効果を生んでいます。
そしてもちろん、雨樋さえも見えないようにするなど細部まで計算しつくされた外観の静かな美しさも、この建物の大切な要素の一つです。